リーガル・ハイ2
ドラマ、リーガルハイ2のレビューです。
裁判劇の痛快さや、古美門の強烈なキャラクター、事務所の愉快な面々による丁々発止のやりとり、などの楽しみは残しつつ、新たな敵役との戦いが始まったのが第2シーズン最大の特徴。
第1シーズンとの違い
第1シーズンはもっぱら、団塊の世代(戦後世代と言ってもいいかも)に対し、
バブル崩壊以降の現役世代を代表するのが古美門、という構図だと思っていました。
とくに第9話で絹美の高齢者たちとぶつかり合う場面が象徴的。
世代間格差や、地域社会の分断について目を逸らさない本シリーズの中でも、あの演説はかなり核心を突いていると思う。
第2シーズンでは、ぼちぼち社会に出てきはじめたゆとり世代もプレーヤーに加わった。
新たな登場人物
無駄に爽やかなうえにとらえどころがなく、「Win-Win」を標榜する羽生弁護士/検事を「ゆとりの国の王子様」と形容したのは言い得て妙です。
ゆとりの国の王子様・羽生は言わずもがな、ヒッピーの本田も同じ立場。
しかし、ゆとり世代の代表なのに60年代の象徴であるヒッピーが出てくるって皮肉。
とりあえず、羽生を見ていると「意識高い系の学生」を連想して微笑ましいです。笑
「どうしようもなく間違った世の中で理想を追い求めるのは大いに結構だが、現実を受け入れる態度を持て」というのは辛辣で的を射た批判ですね。
理想を追うことと、現実を見ないことは違う。
本人が理想を思い描いている狭い部屋の中と、それ以外の人々が暮らす雑多な社会では
まるで違う世界が広がっている。
実際に行動するときは、ゼロから始めるんじゃなく、今ある現実を懸命に理想とすりあわせていくしかないことがほとんど。
おそらく脚本家はゆとり世代にそういう特徴をみとめて、バシッと言ってやったん
だと思います。
現役ゆとり世代としては、
「簡単に俺らに勝てると思うなよ!」という上の世代からの挑戦状なのか、「お前らまだまだしょうもないけど、これを克服してもっと強くなれよ!」という激励のメッセージなのかが気になる。両方でしょうか。
颯爽と自分探しの旅に出る羽生を見て、古美門が「勝ったのは私で負けたのはあいつなのに何であんなに爽やかで主人公みたいなんだ」と毒づく場面が、しばしば聞かれる
「ゆとり世代って、叱っても堪えた様子がないんですけど…」という話と重なりました。
おわりに
個人的には、第1シーズンで神がかり的に面白かった三木先生とその一派がカムバック
したのが嬉しかったです。
第3シーズンあるのかなあ。
あるなら三木先生たちにも引き続き登場してほしいです。
印象に残った台詞は最終話のこちら。
「自分も醜い底辺のゴミクズの一匹であることを自覚しろ」
「醜さを愛せ」