若者はなぜ3年で辞めるのか?
読書の記事です。
ご紹介するのは『若者はなぜ3年で辞めるのか?』。
2006年に出版された新書です。にもかかわらず、大きな本屋さんの新書コーナーに行くとほぼ必ず置いてあります。
日本企業の年功序列制度
私自身も、年功序列が堅持されている会社に勤めているので、この制度が矛盾に満ちていると感じることが多々あります。
ただ、本書で触れられている通り、40代以上のひとはこの制度が持続していくことに
何の疑問も持たないことがほとんど。
古典的・日本的な組織で下働きしていれば、存在意義のわからない肩書きが沢山生み出され、その席に自分より早く生まれてただ早く入社しただけの人が座っている、と考える若年層は少なくないと思います。
そうした人たちは、近年更に定年退職した後の継続雇用と言うかたちで手厚く
守られるようになっているわけです。
皺寄せは新規採用の人数に現れます。
しかし、いつまでも「良かった時代」の面影を思い出したり、現状を少しでも延命することに心を砕いている人ばかりでは、この変化の速い時代に対応できなくなります。
著者は、BLOGOSでの執筆活動や、メルマガ配信等も行っていますが、その中でも繰り返し、年功序列に凝り固まった組織を変えていくことの重要性を訴えています。
働いた量(時間)での評価から、質(成果)での評価へ
そのためには、残業時間など、働いた時間数で仕事を評価する仕組みを改め、成果で仕事を評価する仕組みが必要です。
なぜなら、働いた時間数で評価されるのは、作業時間が長くなれば単純にアウトプットも多くなるブルーカラー的職務に適用されるべき仕組みであり、
成果とアウトプットの量やクオリティの間に明確な因果関係のないホワイトカラー的職務に適用するのは、元々適切とは言えないからです。
評価方法の変更で得をする人、損をする人
成果で評価する仕組みを作れば、「どうして長く在籍してきただけのあいつが、俺の何倍もの給料をもらっているんだ」という若手の不満を一掃し、彼らをモチベートすることにつながります。
若くても、実績を上げさえすれば高い評価と報酬を受けられるようになるからです。
反対に、実績を上げなくても失業の恐怖とは無縁だった人たちにとっては青天の霹靂です。
長く在籍さえしていれば勝手に職位が上がっていったのに、ある日突然成果を出せと言われても、何の能力もつけないまま40代、50代に突入した人にとっては無理な話です。
だからこそ日本の労働組合は、成果主義に断固反対してきたのだ、ということも述べられていました。
成果主義の導入による年功序列制度の欠点解消をご紹介しましたが、著者は他にも、労働市場の流動化や、解雇規制の緩和などについて度々触れています。
本書のみならず、他の書籍やコラムもぜひ多くの人に読んでいただきたい人物です。